薬剤師を楽しもう!

薬剤師・チカの「これ知っとこ!」

弱オピオイド(トラマドール塩酸塩)とアセトアミノフェンの合剤、
トラムセット配合錠が発売されて半年ちょっと経ちました。

降圧剤の合剤は当たり前ながら、このバージョンがくるとは、
発売されると聞いた時はびっくりしました。
海外ではよく使われているのですが。

組んだ理由は
トラマドールの立ちあがりが遅いので、その薬剤に立ちあがりの早いアセトアミノフェンを加えたようです。

確かにNSAIDsで効果がさほどなく、慢性疼痛に苦しんでおられる患者さんは沢山います。
錠数を増やしたり、種類を変えても変わりなく。
リリカが発売されてから、帯状疱疹後神経痛がかなり緩和されるようになりましたが、
こちらも効果があるということで
帯状疱疹後疼痛をお持ちの方は今までのように痛みに耐える必要がなくなるかもしれません。

「朗報!」と思いながらも、副作用や依存性のことがすぐ頭をよぎました。

効能効果は
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な鎮痛(非がん性慢性疼痛・抜糸後の疼痛)

慢性疼痛は
「治療に必要とされる期間を超えているにもかかわらず持続する痛み」と定義されており
痛みの持続期間は3カ月以上とされています。

オピオイド製剤なので、使用に当たり、沢山の『壁』があります。

まず、患者の痛みが慢性疼痛かどうか、
オピオイドの治療対称ではない非器質性(心因性)疼痛でないかどうか、
を問診しなければいけません。
痛みは複合的なので
炎症的疼痛(腰痛・変形性関節症等)と神経的疼痛(帯状疱疹後疼痛等)との兼ね合いも考えて総合的な診断が必要です。

そして副作用の面からも、患者との信頼関係構築、
認知症など服薬への懸念のある患者はサポートがなければ服薬困難者となります。

依存リスクが高いのも非適応。
アルコール依存や精神疾患の併発なども専門家の判断が必要となってきます。

そんな『壁』を乗り越えて、やっと適応症例となります。
あ~~長い道のり。

副作用はもちろん、かなりの頻度で悪心(41.4%)・嘔吐(26.2%)が出現します
                     ~国内臨床試験599例中~

ところが、これはもちろん初日・2日目に多くでて、3日目以降はガクンと数%に下がるのです。
ですから、服薬指導時初期の副作用であることをきちんと伝えないと
コンプライアンス不良どころか、
服薬拒否『もう一生飲まへんわ! By関西人』になる可能性は高く、
せっかく疼痛緩和の目的が果たせないことになります。

実際当薬局で処方された患者さん。
「あ~気持ち悪っ~~~気持ち悪いがな~~~」と2.、3日ぶつぶつ言いながらも
今では全く悪心はありません。

ナウゼリン・プリンペランの投与初期からの併用や
漸増投与ですね。
推奨モデルは
分1 を1~3日まで
分2を4~7日まで
それ以降が分3

もしくは
1週間目  朝 NSAIDs(以下N)  昼 N  眠前 トラムセット  
2週間目  朝 トラムセット    昼 N  眠前 トラムセット  
3週間目~ 分3トラムセット

という方法もあり。


でもですね~~~。
適応の抜糸後の疼痛!
初日が痛いのに、それとともに気分も悪いなんて、なんだかな~~~、と思いましたが
骨切除などを伴う侵襲性の高い手術の場合はNSAIDsが効かないこともあり
この効能を取ったみたいです。

がん性疼痛に適応取らなかったのは、すみ分けの意図的なものでしょう。


『痛みを除く』というのはQOLに関してはとても大切なことなので
ともかく、服薬指導は患者の立場に立って適切にする必要がある薬剤です。

グラクソ・スミスクラインから11月21日にロタウイルスに対するワクチン
『ロタリックス内用液』が発売されます。

ロタと聞けば
『白い便』
『すぐ感染する』
『幼稚園や保育園で流行する』
『治す薬はない』
『子供はぐったり』
『・・・母、大変だ』・・・・衛生管理ができている日本ではそんなイメージでしょうか。

『死亡』という言葉が直結しない疾患のように思いますが
世界ではアフリカ、インド等発展途上国を中心に約61万人が死亡している感染症です。

日本での推定発生数ですが
毎年120万人、そのうち8万人近くが入院しています
そして 死亡例も10~20人いらっしゃいます。


実は、脳炎・脳症を発症するリスクは
インフルエンザ・HHV-6、7に次いで第3位
おたふくより多いのです。

また、発症年令によっては稀ですが腸重積のリスクもあります。

ロタウイルスの感染力は強く、感染者の便には
1gあたり数億~数兆個のウイルスがいます。
ほんの数個体内に入るだけで感染します。

5歳までに95%の子供が感染し
潜伏期は0.5日~4日
症状は、白っぽい便、嘔吐、発熱、腹痛など
下痢嘔吐が止まらないので脱水にもなりやすいです
時期は2~5月が多発期です。

感染を2回するとほぼ免疫はつき、それ以降感染したとしても重症化はまれと思われています。

ロタワクチンに関しては、既に100カ国以上で発売されており
いよいよ日本発売になったわけです。

遅い・・・
日本って小児科領域、ワクチン領域は遅れているんですよね。
確かに、発展途上国の発症率を見れば、緊急性が薄いからかもしれませんが。

ロタリックスは生ワクチンで、ポリオのように、飲むタイプです。
ロタウイルスには多くのウイルスの型があります。4
ロタリックスはそのうち1つのロタウイルスを弱毒化したものですが
交差免疫によって感染しやすいほかの型にも有効であるということです。

接種時期は生後6週~24週
2回目の接種は1回目の接種から4週間以上あける
遅くとも生後24週までには接種を完了させること。


これは昔、最初に発売されたロタシールドというワクチンが
腸重積という副反応が起こったこと、ロタ自然感染でも腸重積は生後6カ月以降に起こることなどを加味されて
ワクチンするなら腸重積の起こりにくい低月齢に接種するのがよい
という考えのようです。

2回接種で、2回自然感染を再現することになります。
かなり重症化を防げます。


お子さんをお持ちの方は経験がおありと思いますが、
ワクチン接種スケジュールって完璧に組んでも
風邪をひくと、ぐちゃぐちゃになるんですよね(涙)
調子のいい時を逃さないで打っていかないと、
お母さんたちは実はワクチンスケジュールに必死なのです。


さて、もう1社、MSDからも『ロタテック』というワクチンが数カ月後に発売予定です
こちらは5価ワクチンで3回接種です。

『ロタリックス内用液』お味は??

メイプル味。


接種は自費でワクチン1本10500円です。

何が何でも・・・吐き出さないでくれ!!と
念力を送りたくなるのは私だけでしょうか?(笑)

なかなかブログが更新できてなくてすみません!!

ただいま、学生実習の真っ最中。
なかなか言うことを聞いてくれない学生たちですが、
奮闘中です!

また実習の様子、お伝えします!!


                 薬剤師チカより

骨粗鬆症治療薬と言えば

昔からの活性型ビタミンD3製剤・ビタミンK2製剤・カルシトニン製剤
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)など。
今の主流はビスフォスフォネート系薬剤の週一回製剤でしょうか。

コンプライアンス保てますしね、
毎日製剤と違って、飲み忘れたら
次の日でも、その次の日でも・・OK。
そしていつもの曜日に戻せるのも
確実に週1回のんでいただける要因です。


昨年10月に初めての皮下注製剤『フォルテオ』が販売されました。

「注射」というとまだまだ抵抗があるかもしれませんが
最近ではインシュリンの膵臓の疲弊を防ぐための早期導入や
リウマチの自己注射剤もあるので
以前よりは浸透してきましたでしょうか。

『フォルテオ』~テリパラチドは
ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)をもとに作られた遺伝子組み換え製剤です。
海外ではすでに2002年から使用されており、84カ国で承認されています。

1日1回20㎍を皮下注射です。
投与期間は18カ月まで(一生に)でしたが、
安全性が24カ月まで確認されたので、最近改訂されました。
やむを得ず一時中断したのち再投与は
総投与日数が24カ月をこえないこと。
まだ発売1年経っていませんが、一本28日分なので
例外で28日投与が認められてます。
「男性での安全性、有効性は確認されていない」となっていますが
これは、ただN数が少なかっただけのようです。


同じ骨粗鬆症治療薬との併用ですが
活性型ビタミンD3製剤は血清カルシウム値を上昇させる可能性がありますので併用注意です。
一応、添付文書上はSERMやBP製剤等との併用に関しては何も記載がありませんが、
単剤投与の方が併用よりも効果があると言う報告もあるため
まず、併用しないで経過を見てください、とメーカーは言っていました。


特徴は一言で言うと、骨芽細胞に働きかけ活性を促進する働きです。

今までの治療薬は、主に「破骨細胞」の数を減らしたり働きを止めることによって、
結果的に骨密度を増加させていますが、
PFTの間欠投与で骨芽細胞を刺激して、骨リモデリングを促進する作用があります。

もともと人がチビチビチビ・・・・と持続的にだしているPTHは
骨吸収を促進するのですが
バンバンバン!とそれを1日1回間欠投与することで
骨形成が促進されるそうです。
骨形成マーカーの上昇(1カ月で105%、6か月で218%)
腰椎BMDを18カ月で10.92%増加(フォルテオ資料より)


ですので、
効能効果は「骨折の危険性の高い骨粗鬆症患者」となっています。
24カ月使用後は、BP製剤等に切り替え維持が望ましいそうです。


基本的な打ち方はインシュリンと同じですが
インシュリンと操作の違うところは
空打ちは開封後1回のみ(毎回しなくてよい)
保存は開封後も冷所保存(凍結をさける)
インシュリンのように用量調節は必要なくボタンを押して打つのみ


「フォルテオスーツケース」というのがありまして、
保冷機能付きキャリーバックで
説明書や使用法、電話サポートの案内など、
初回スターターセットになってますので説明もしやすく、
患者さんも安心して使用できます。


薬価が、案の定高い!
1キット、51871円也!!

皆さん、こんにちは。

現在、関西の薬科大学の実習担当をしていて、
ちょっと忙しくしています。
なかなかこのコラムを書けず、申し訳ありません。

また学生の様子なども報告したいと思います。
よろしくお願い致します!!


                  チカ

ドライパウダー吸入式喘息治療配合剤
「シムビコート」
発売して1年です。
今更ながらですが、最近になって門前クリニックが処方しだしたので
改めて勉強しました。

ご存じの通り
吸入ステロイド薬ブテソニドと
長時間作用がたβー刺激薬ホルモテロールフマル酸塩水和物の合剤です。

気道の炎症と狭窄に対して作用するわけですが、
「ウリ」は?
肺全体に薬剤が到着しやすい粒子径であること。
中枢気道に沈着しやすい粒子径と末梢気道に沈着しやすい粒子径の
ちょうど中間の粒子径(2~3μm)で肺全体に到着、分布しやすいということです。

親水性も高いのでより肺細胞膜も通過しやすいです。

そして、ホルモテロールが速やかな効果発現を有するので
吸入数分後から効果が表れるといわれております。
日本では発作治療の対象薬にはなっていませんが、海外では発作に対しても承認されています。

それと、アドエアの大きさが携帯しにくいということで、小さくコンパクトにしたのも「ウリ」だとか。

そこで一言!
でもね・・・・・・使いにくい~~~~!

メーカーさん来るたびに文句言ってる私・・・・。

基本、吸入は
『右へクルッと回し、左へカチっと戻し、スーっと吸う』です。

まず、吸入前の準備
別冊子の説明では
「赤いグリップを左右に回して「カチっ」と3回鳴らしてください」

と「3回」の数字がデカデカと。

で、容器と一緒に添付されている説明書には
(1)赤色回転グリップを矢印の方向に「カチっ」となるまで回します
(2)「クルッ」「カチっ」の操作を2回繰り返します。

と「2回」の数字がデカデカと!


ん、ん、ん~~~????「2」?「3」?
合わせて三回?
念のため、メーカーに℡したところ

「(1)で1回、(2)で2回、足して3回です
・・・・・わかりにくくてすみません」

まず、別冊子と箱の中の説明書を同時に渡すと患者さんが混乱するので
別冊子のほうだけ渡すことにしました。

それでも、カチっていう音が小さくて陰気なため(笑)
何度もカチカチしたり、吸入の度に3回カチっとしたり、
すぐにカウンターがゼロになる患者さんがいらっしゃるので
最初、処方時に目の前で吸入前の3回カチャの準備をしてもらって
「これで最後まで吸入の度に一回クルッと、カチをすればいいですからね」
と3回カチの初期動作の絵のところを大きく「×」します。

さて、お次に・・・
どうして、カウンターついているのに残30回の次が0回なわけ?!
なにげに微妙~にカウンタがずれて行くのです。
アバウトすぎる…。せめて、30→20→10→0でしょ。
これも容器を小さくしたためだとか。

散々、わたくし文句を言っておりますが(メーカーさんには嫌われてるかも!!)

とってもいいお薬なのです~~~!!!!!
患者さんを通じて効果を実感しています☆
だから、どうにか使いやすくして欲しいのです。

それで、色々吸入補助のためのアイテムがあるので
ご紹介します。
「ぜんそく治療サポートパック」というのがあります。
喘息の知識やコントロールチェックシートのほかに
濃紺の布がついています。
上手く吸えているかどうか、この布を挟んで吸入して白い粉がついていれば
吸えているということです。
(シムビコートはアドエアよりも粉っぽくないので、特にアドエアからの変更の患者さんは、
吸った感があまりないそうです)

それから、「右」が先?「左」が先?って迷う患者さんがいらして
シムビコート本体自体には矢印もなにも記載はないんです。
それを言ったら(また文句・・・・・・笑)
「いいのがあります!」と
持ってきてくれたのが、シムビコートを垂直に立てる土台で

止まるまで ①→
音がなるまで ②→
と書いていて
シムビコートを突き刺して。①→②と書かれているとおりに土台をクルッと操作します。

お~、これはグッド!!左右どっちが先かよくわかる!

・・・・・しかし、①→②って下の付けた土台を回すのですが
上のシムビコート本体を①→②と回した人が・・・・
反対だ(涙)
しかも、この土台つけたら
せっかくのアドエアより「ウリ」のコンパクトさが!
変な形で大きくなっちゃった!


・・・・・・まだまだ、わたくしのシムビコートとの戦いは続くのでした。

ずっと前、歌手の徳永英明さんがこのもやもや病に罹患したのがきっかけで
一般にも知られるようになりました。
見事に復活されて、今ではあの甘い歌声に癒されている人がどれほど多くいることか。

(←私もその一人☆)

「もやもや病」の名前の由来は脳の細い血管が増えて、レントゲンで脳をとると、
たばこの煙みたいに「もやもや」した状態だからです。

まずは脳の中身から。
脳に栄養を与える太い血管は4本あります。
これら4本は頭の中でお互いにつながっていて、輪のように見えるので
発見した人の名前から『ウィリス動脈輪』と呼ばれています。
とっても大切な役目をする血管なので、もし1本が詰まっても他の血管から流れるように
繋がっているのですね。
「もやもや病」の正式名は「ウィリス動脈輪閉塞症」です。

この太い血管が細くなったり詰まったりすると、血流量が減り、もちろんそれがひどい場合は
脳梗塞がおこるのですが、脳もがんばります。
太い血管が役目を十分に果たせないとわかったら、そこから繋がっている細い血管が
一生懸命細いなりに代わりを務めようと広がったり
ほとんど使っていなくて見えないくらいの血管まで頑張って血流量を増やします。
脳血管なりの自衛策です。
そんなこんなで、どんどん無秩序に入り組んだ状態で細い血管の血流量が増えるので
もやもやとした状態になります。

欧米人よりアジア人のほうが多く10倍くらい、女性が男性の1.8倍くらい、
日本全国で約7500人いるといわれています。
発症年令は5歳前後を中心とした小児型と、30~40代を中心とした成人型です。
約10%の患者さんに家族例が見られるので、遺伝的要素もあります。

症状は2つにわかれて
脳に血流が足りないために起こる脳虚血型と
細い血管に負担がかかりすぎて出血する脳出血型があります。

脳虚血型の特徴は笛を吹いたり、熱いラーメンをふうふうしながら食べたり
全力疾走をしたり、子供だったら大泣きをしたり等など、過呼吸運動によって、手足がしびれたり、
脱力したり、意識障害が起こったりします。
数分でおさまる場合もあれば、脳梗塞になる場合もあります。
でも、子供の場合は気をつけなければいけませんね、大きな症状だったらわかりますが、
少しの手足の脱力など、症状を訴えない場合も多いので見逃してしまいます。

虚血している場所によっては一時的にものが歪んで見えたり、視野の一部が欠けたり,
見えにくくなったりする場合もあります。
脳血流改善薬や抗血小板薬で血がかたまって血管が詰まるのを防ぎます。
抗てんかん薬を用いることもあります。
虚血がひどい場合はバイパス手術を行います。


脳出血型は出血部位によって症状は違いますが、頭痛や、部位によっては麻痺が起こります。
日常の特徴は起床時から午前中にかけて吐き気やおう吐を伴う強い頭痛があって、
昼までにはおさまって午後は改善、というのが典型的パターンです。
この場合痙攣を止める薬が有効な場合があります。
出血は繰り返すことが多く、それを完全に止める有効な治療はありませんが
血腫を取り除いたり、バイパス手術によって再出血を予防することができるのでは?
といわれています。
もともと高血圧の場合は付加がかかるので抗圧剤を投与します。

頭痛に対する、薬が問題です。
他の鎮痛剤が効かないため、片頭痛?と思って、イミグラン等を投与すると・・・・
イミグランやゾーミックの添付文書の投与禁忌には
『脳血管障害や一過性脳虚血発作の既往のある患者』とあります。
これはもやもや病の状態なので投与は避けるべきです。


もやもや病無症状で見つかる場合も増えてきています。
偶然頭のレントゲンを撮った時に見つかるとか。
進行があまりなければ無治療で様子をみることもあります。

日頃気を付けることは『脱水』
脱水状態になると血が固まりやすくなります。
運動時の水分補給は注意して積極的にとるように、
発汗を促すサウナなどもさけたほうがいいですね。

この夏の猛暑、皆さんいかがお過ごしですか?
今年は異常なほどの暑さに加え、日差しが凄いですね。
シミができたら、自然治癒はあり得ない年齢の私としては、
「日焼け止め・日傘・長手袋」が三種の神器であります。
それでも出来たら、皮膚科にGO~!!でお金を払ってシミをとってもらう今日この頃・・・・・。

さて、今回はそんな日差しが怖い「光線過敏症」についてです。
光線過敏症には内因性と外因性があり、
内因性は免疫異常や代謝異常、遺伝的素因などです。
外因性は光毒性反応と光アレルギー反応に分かれます。
私たちが注意しなければいけない薬剤性光線過敏症は外因性になります。
薬疹全体のなかで光線過敏症の占める割合は14%です。
ですから、皮膚症状が出た時、薬を服用している人は薬剤性光線過敏症を疑う必要があります。

光毒性は 皮膚に存在する物質が特定の波長の光線を吸収して、細胞を攻撃して組織の障害がおこることで、薬剤と一定以上の光の量があれば、誰にでも起こりうることで
発現までに数分~数時間です。症状の経過は日焼けのように消失は早いです。

これに比べ、光アレルギー反応は皮膚に存在する物質が特定の波長の光線を吸収すると、
体質によって、光抗原ができて、皮膚でアレルギー反応を起こすもので、
微量でも反応する場合があります。
発現まで数日以上かかり、そしてこちらは類似化合物と交叉反応を起こすことがあります。
症状は数週間から数カ月、長い場合は年単位のこともあります。

影響のある波長は外出時の直射日光だけでなく、窓越しの光でも発症します。

主な原因薬剤(メルクマニュアルより)
抗不安薬
  アルプラゾラム・クロルジアゼポキシド
抗生物質
  キノロン系・スルホンアミド系・テトラサイクリン系・トリペトプリム
抗うつ剤
  三環系抗うつ剤
抗真菌薬
  グリセオフルビン
抗精神薬
  フェノチアジン系
利尿薬 
  フロセミド
  サイアザイド系
血糖降下薬
  スルホニル尿素系
化学療法薬
  タカルバジン
  フルオロウラシル
  メトトレキサート
  ビンブラスチン
心臓の薬
  アミオダロン
  キニジン 
非ステロイド性消炎鎮痛剤         等などまだまだあります。 

添付文書に記載があるのは結構な品目数です。
外用薬ではケトプロフェン(モーラステープなど)が有名ですが、
貼付している時だけでなく、成分が皮膚に数週間残存します。
光線過敏症が発現したうち83%は貼付後一週間以内に、99%が4週間以内ですので、
剥がした後1カ月ほどは注意すること。
とは言っても、服薬指導で「貼って1カ月は日に当たらず気をつけてください!」なんて言ってしまったら、誰も貼らなくなりますよね。
「剥がしてからもまれにそういうことがあるので、もし症状が出たらすぐにお医者さんに行ってくださいね」という注意喚起など、不安を与えず、早期対処できるようにする服薬指導が必要ですね。
ひどい時は貼付部位だけでなく全身に紅斑がでることもあります。
ですから、日差しの強いときやゴルフや屋外に出ることが多い職業のひとには、過敏症に対する一言を付け加え、湿布なので内服より気軽に他人に譲り渡すケースがあるのでそのようなことのないように
注意が必要です。

内服ですが、最近注意が必要なのが、血圧降下剤の合剤です。
合剤・・・今凄い勢いで増えてますね。
プレミネント、コディオ、ミコンビ、エカード、これらは合剤の利尿剤はサイアザイド系のヒドロクロロチアジドです。
服用してすぐとは限りません、冬場から飲んでいると、春先日差しがきつくなった時に急に発症することがあります。
即中止し、日に当たらないように、外出を控える、日傘、手袋、UVケアをするなど。
服用を中止してから、いつまでUVケアを徹底しないといけないのでしょうか?
体内に成分がどれほど残るかは薬剤によってそれぞれ違いますが、
皮膚の状態を考えると、今出ている皮膚症状が無くなるまでです。
そして今出ている皮膚症状の対処療法としてステロイド塗り薬を使用したり
、抗ヒスタミンや抗アレルギー剤を服用します。

外因性は薬だけではありません。
光毒性がある食べ物はセロリやウド、イチジク、辛子、アワビ、そばなど沢山あります。
グレーフルーツ、オレンジ、ライム、レモン、ベルガモット油などはアロマのエッセンスにもありますね。
これらのエッセンスをマッサージオイルとして利用した後に日光に当たらないようにしたほうがいいということです。
健康食品でも、クロレラやセントジョーンズワート、どくだみ等も報告があります。

まず、薬剤師としては光線過敏症は、まれにではありますが、薬と光によって起こりうる可能性をしっかり理解し、患者さんに不安を与えない指導の仕方で、
予防、発症早期に受診できるようにもっていくことが大切ですね。

地球は1日24時間ですが、人間の時計は実は1日25時間といわれています。
でも、毎日同じ時間に起きて同じ時間に寝られるのは
朝起きて光を浴びることで体内時計をリセットしているのです。
真っ暗な部屋で外の変化がわからない状態では25時間で進んでしまいますが
毎日のリセットで24時間制度に合わせているわけですね。

朝の光を浴びることでその14~15時間後に登場するホルモンが
睡眠ホルモンといわれている「メラトニン」です。

メラトニンは脳の松果体から分泌され、脈拍・体温・血圧を下げ、睡眠を誘います。
光によって分泌量はコントロールされるので昼間は少なく夜間に多くなります。
夜寝る前に暗くすると寝やすくなるのはこのためです。
徹夜をするとき、電気を明るくしてパソコンに向かっているのと、
薄暗い部屋で本を読んでいるのでは、後者のほうが断然睡魔が襲ってきますよね。

メラトニンの分泌の流れは、まず必須アミノ酸のトリプトファンが脳に運ばれると
それを原料にセロトニンが作られます。このセロトニンがメラトニンの分泌を促すそうです。
トリプトファンはバナナや牛乳に含まれています。
夜に牛乳を飲むのがよい、といわれるのはイライラを落ち着かせるカルシウムだけでなく、
トリプトファンも含まれるからです。

北欧では「ナイトミルク」というのがあるそうで
牛も人間と同じで夜のほうがメラトニン分泌が多いので
夜に絞ったミルクを飲むそうです、太陽が沈まない白夜があるからですね。
日本でも夜絞った牛乳が売り出されています。
あくまで食品なので「効く」というわけにはいきませんが、
リラックスを目的に販売されているみたいです。

さて、この「メラトニン」高齢になると分泌量が減ってきます。
だから、高齢者には不眠が多く、睡眠導入剤がよく処方されるわけです。

じゃあ、「メラトニン」の分泌を促進すれば自然な眠りに?
というわけで、武田薬品から「ロゼレム錠8㎎」(一般名:ラメルテオン)がこの6月に薬価収載
されました。
作用機序は脳松果体からの分泌ホルモン、メラトニンの受容体に選択的に結合して薬理作用を
発揮します。
久々の全く新しいカテゴリーの不眠に対するお薬です。
とはいっても、米国では2005年にすでに承認されています。
メラトニン自体は海外ではサプリメントとして時差ぼけや睡眠障害に販売されています。


添付文書によると
効能効果は「不眠症における入眠困難の改善」です。
禁忌薬剤があります。
ブルボキサミンマレイン酸塩(ルボックス・デプロメール)です
ラメルテオンの主な代謝酵素はCYP1A2で、フルボキサミンはCYP1A2を強く阻害するため、
最高血中濃度・AUCが顕著に上昇するそうです、「顕著」と表現するだけあって結構な数字です。
詳しくは添付文書をご覧になってください。
食後投与は空腹時投与に比べて血中濃度が低下するので食直後は避けること、
と使用上の注意に記載があります。

もちろん朝の光だけでなく、食事のリズムなど1日規則正しく送るのが質の良い睡眠をとるためには
重要ですね。
といいながら、このブログは夜中に電気コウコウ!パソコンの光も浴びて、音楽ガンガンかけながら、
メラトニン分泌抑えて書いています…。
明日は体内時計リセットのために、即カーテン開けて光を浴びます~。

新聞を見てびっくりしました。
タバコがひと箱400円以上なんて、思い切った値上げですね~。
まずは、
1日の喫煙本数×金額×31日=○○○○○円 と計算し
男性はここで妻の一言
「これからは自分のお小遣いで買ってねっ」 なんて言われると
最大の禁煙動機になります!

ということで、病院や薬局にも禁煙挑戦者が増えると見込んで、
薬剤師も更に禁煙サポートに取り組みましょう。

禁煙補助剤としては処方薬としてはニコチンパッチや ニコチン受容体部分作動薬
OTCでも気軽にニコチンパッチやニコチンガムが手に入りますね。
それぞれの薬のことは皆さん専門家なので説明は省略します。

長年喫煙してきた人にとって、禁煙をするというのは1人ではなかなかできにくいですね。
だから、何度も禁煙しては吸ってしまって…というパターンが多いと思います。
ここでは、医療従事者がどのように禁煙サポートを行うか?
「アドバイス」「励まし」「頑張れ~!」「誘惑にまけないで~」「凄い!禁煙成功ですね」etc と。

まずは
[動機づけ]
・疾患に絡めて
→ 動脈硬化が進行すること・COPDについて話す・今の疾患(たとえば胃潰瘍など)の改善につながること・肺がんの話も言っちゃいましょう
・家族持ちの人
→ 受動喫煙について説明する・子供が見ていて吸うようになる・値上げしますし…
・女性
→ 出産のリスク(低体重児など)・肌あれの原因になること・歯にヤニがつくこと
・若い人
→ 会社に入っても禁煙が当たり前で吸いにくい状況であること
  値段高い!値上げする!辞めたら貯金できる→結婚資金が貯まるわよ~。

等など。

それに「禁煙したほうがいいですよ」と幅を持たせた言い方ではなく
「禁煙することが大切です」と言い切ること。
「ちょっとならいいか…」と思わせてはいけません、その1本が命取り。
お年寄りが「今更なあ~」と言えば「禁煙するのに遅すぎることはありません、今からでも色々な病気のリスクが低くなりますよ、がんばりましょう」と言い切りましょう。

[禁煙挑戦中のフォロー]
1)離脱症状に対する対処法の提案
・イライラ→深呼吸・水やお茶を飲む(この時の注意点として、コーヒーは飲みながら一服というパターンが多いので余計に吸いたくなるのでお勧めできません)・氷を口に含む・音楽を聴く・シャワーを浴びる
・口寂しい→飴をなめる・ガム(シューがーレス)などをかむ・歯磨きをする・口腔洗浄液を使う
・体重が増えた→胃腸の調子が良くなったり、口寂しくて食べてしまいがちですが、カロリーの低いものを食べたり、たとえ一時的に体重増加しても禁煙成功してから運動やお食事でダイエットしましょう

2)禁煙中だということを周りの人に宣言しましょう。周りも遠慮して目の前でタバコを吸わなくなるので誘惑が一つ減ります。それに、宣言してすぐリタイアは格好悪いじゃないですか。

3)吸いたくなる誘惑を減らすこと
・禁煙し始めはなるべくお酒の席には参加しないでおきましょう
・朝の一服を避けるために、喫煙していた時の朝の行動パターンを変えましょう
・食後は早めに席を立ちましょう
・禁煙具は処分しましょう

4)禁煙が上手く進んでいたら誉める!頑張りを認める言葉かけをしましょう。
患者は相当辛い思いをして禁煙しています、大人といえども頑張りを認められたら続けるための動機付けになります

5)もし失敗してしまったときは、もう一度チャレンジする気持ちをもってもらうために
禁煙に成功した人の多くは数回のチャレンジをしていること、今回失敗した理由を聞き次回はその理由を取り除ける環境にする提案をして、再度禁煙サポートを行いましょう

薬剤師としてはもちろん使用中の禁煙補助剤についてのきちんとした説明も大切ですね。

ところで、大々的にメディアで宣言した舘ひろしさんは禁煙できているのでしょうか?
→経過はファイザーのHPに動画で診察室の様子が撮影されてます。
…さすがにここまで全国区で宣言すると、それこそ最大の喫煙動機になりますね。